第3号 噛む・話す口腔機能
むせる、こぼす、聞き返される
口の衰えは、ささいな変化から始まります。オーラルフレイルと呼ばれるその段階で気づけば、食べる力も話す力も取り戻せます。第3号では、見逃されやすい6つのサインと、今日からできる口の体操をご紹介します。
口から始まる弱り
フレイルというと足腰を思い浮かべますが、口の衰えのほうが先に現れることがあります。これをオーラルフレイルと呼びます。
口が衰えると食べられるものが減り、栄養がかたよります。会話がおっくうになって人と会わなくなります。第1号でお伝えした「一つの弱りが次の弱りを呼ぶ」流れの、最初の一歩になりやすいのです。
見逃されやすい6つのサイン
- 食事中にむせることが増えた
- 食べこぼすようになった
- 硬いものが食べにくく、やわらかいものばかり選んでいる
- 滑舌が悪くなり、聞き返されることが増えた
- 口が渇く
- 薬が飲み込みにくい
どれも「年のせい」で片づけられがちです。ですが、このうち2つ以上に心当たりがあれば、一度ご相談いただく価値があります。
なぜ危険なのか
飲み込む力が落ちると、食べ物や唾液が誤って気管に入ることがあります。これを誤嚥といい、誤嚥性肺炎につながることがあります。高齢の方の肺炎の少なくない部分が、これに関係すると言われています。
「むせる」は、体が異物を追い出そうとしている反応です。むせること自体は防御が働いている証拠ですが、むせなくなったのに肺炎を繰り返す場合はより注意が必要です。
今日からできる口の体操
食事の前に1分で終わります。
1. 唾液腺のマッサージ 耳の少し前(上の奥歯のあたり)を、指で10回ほど円を描くように押します。あごの下も、親指でやさしく押し上げます。
2. パ・タ・カ・ラ 「パ」「タ」「カ」「ラ」を、はっきり5回ずつ発音します。
- パ は唇を閉じる力
- タ は舌の先の力
- カ はのどの奥を閉じる力
- ラ は舌を巻く力
飲み込むときに使う筋肉を、それぞれ動かしています。
3. 深呼吸と咳ばらい 大きく息を吸って、意識して「ゴホン」と咳をします。むせたときに出し切る力の練習になります。
注意 現在食事や飲み込みで治療を受けている方は、担当の医師・言語聴覚士の指示を優先してください。体操の可否は状態によって変わります。
歯科との関わり
口の機能は、歯や入れ歯の状態に大きく左右されます。合わない入れ歯を使い続けると、噛む力も飲み込む力も落ちます。半年以上調整していない入れ歯があれば、かかりつけの歯科でご相談ください。
ご相談ください
飲み込みの評価とリハビリテーションは、言語聴覚士が担当します。当院の多職種チームでは、言語聴覚士・管理栄養士・看護師が一緒に食事の場面をみています。
気になる方はフレイル外来へご相談ください(予約制・代表 096-381-5111)。
次号予告
第4号は「動く」がテーマです。歩く速さがなぜ健康の物差しになるのか、そして自宅でできる下肢の運動をお伝えします。
この号は院内で執筆したものです。医師・専門職による監修は完了していません。
公開前に監修者を立て、frontmatter の supervisor に記載してください。
掲載内容は一般的な情報です。診断や治療の判断は、症状や既往によって変わります。 気になる症状があるときは、自己判断せず医療機関へご相談ください。